童神
こないだのデイケアで、懐かしい人にあった。
俺が3度目の入院した時、お世話になった看護婦さん。
自殺未遂した俺は、ボロボロになってなにかをさがしていた。
カリキュラムはカラオケだった。
[ソノダさん、カラオケ行かない?」
始まる前に、声をかけてくれた人がいた。
「わたし声がアレなので・・・」
丁重に断ると、看護婦さんは行ってしまった。
ベッドで皆が歌うカラオケを聞いていた。
誰かが歌う曲に惹かれてカラオケルームに行くと、さっきの看護婦さんが歌っていた。
部屋にあふれんばかりの人の波。
みんなこの人の歌を聞きに来ているのか・・・・
散歩の時間。
散歩には似つかわしくもない、ラテンの曲に合わせて棟内を歩いていた。
前をあの看護婦さんが歩いていた。
ふだんならそれで終わるはずだった。
声をかけずにはいられなかった。
意を決して、「看護婦さん、歌うまいですね」
「聞きほれて、あしが勝手にオラオケルームの方に行っちゃいましたよ」
看護婦さんは、「ありがとうございます、そんなの言われたのはじめてです」
「あのう、おれ、5日後に退院なんですけど、あの歌、歌っていただけませんか?」
そんなことがあって、親しくなったおれの退院当日。
彼女はカラオケルームに来てくれて、歌ってくれた。
もう始まる前から号泣。
思えば,俺の泣き癖はあの頃からか・・。
御礼も言えぬままカラオケを後にする俺。
その歌が、童神だと知ったのは、だいぶたってから。
何かが見つかった様な気がした。
2020-03-19 07:50
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0