会計さんはたいへんだ
「ひろちゃん、100円玉たいてなか?」
昼にともよしくんが聞く、
ともよしくんは今年の会計。
ここら辺では、部落費は会計さんが徴収して回る。
「部落費か?」
「んー、今日から回ろうかと思うて」
「今あんまりないけど、夕方だったらあるかも」
「こい貸さん?」
この間、ごみ収集所からパクってきた「エクセル操作大辞典」を見て言う。
子供がいじくってエクセル動かないって言ってたけど動くようになったのか。
「よかど」
「わぁからもろうたファイル,ようわからん、勉強せんば」
会計さんも大変だな。
そう思いながら散歩に出る。
今日はあの犬はいるかな?
松下さんの前を通ると、ギャンギャン鳴いて飛びだしてきた。
俺の周りを遠く近く歩く。
「また飼ぉたとか?」
「
あの声は吉内さん。
「いいえ、松下さんのところからツイテきたんです」
吉内さんはかわいい犬を連れていた。
この犬ももっと器量が良けりゃなぁ。
つくづくそう思う。
昭和の犬だ。
俺も小学校の時、通学路に犬がいて通れない。
どっかに行くのを待っていて、学校に遅れてしまった。
犬は車検工場の上の十文字のところでいなくなった。
夕方、ともよし君が来た。
「うちの分、100円玉で払おうか?」
「そうしてくれると助かるよ」