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童神

こないだのデイケアで、懐かしい人にあった。


俺が3度目の入院した時、お世話になった看護婦さん。


自殺未遂した俺は、ボロボロになってなにかをさがしていた。


カリキュラムはカラオケだった。


[ソノダさん、カラオケ行かない?」


始まる前に、声をかけてくれた人がいた。



「わたし声がアレなので・・・」


丁重に断ると、看護婦さんは行ってしまった。


ベッドで皆が歌うカラオケを聞いていた。


誰かが歌う曲に惹かれてカラオケルームに行くと、さっきの看護婦さんが歌っていた。


部屋にあふれんばかりの人の波。


みんなこの人の歌を聞きに来ているのか・・・・


散歩の時間。


散歩には似つかわしくもない、ラテンの曲に合わせて棟内を歩いていた。


前をあの看護婦さんが歩いていた。


ふだんならそれで終わるはずだった。


声をかけずにはいられなかった。


意を決して、「看護婦さん、歌うまいですね」


「聞きほれて、あしが勝手にオラオケルームの方に行っちゃいましたよ」


看護婦さんは、「ありがとうございます、そんなの言われたのはじめてです」


「あのう、おれ、5日後に退院なんですけど、あの歌、歌っていただけませんか?」


そんなことがあって、親しくなったおれの退院当日。


彼女はカラオケルームに来てくれて、歌ってくれた。


もう始まる前から号泣。


思えば,俺の泣き癖はあの頃からか・・。


御礼も言えぬままカラオケを後にする俺。


その歌が、童神だと知ったのは、だいぶたってから。


何かが見つかった様な気がした。

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